こんにちは！
アクセルラボでPMM（プロダクトマーケティングマネージャー）を担当している北村です。
2019年8月のリリース以来、多くの方々にご利用いただいているスマートホームサービス「SpaceCore（スペースコア）」。2024年10月1日より、私たちは「SpaceCore」を「SpaceCoreHome（スペースコア・ホーム）」と「SpaceCorePro（スペースコア・プロ）」という2つのプロダクトに分割し、新たなスタートを切ることにしました。
この連載ブログでは、3回にわたってこの背景と各プロダクトの魅力をお伝えします。第1回となる今回は、単なる新製品紹介ではなく、私たちがなぜこの「分割」という大きな決断に至ったのか、その裏側にあるプロダクト戦略についてお話ししたいと思います。
「One-Size-Fits-All」モデルの限界：見えてきた2つの異なるニーズ
サービス開始当初、私たちは賃貸住宅向けに「SpaceCore」の提供をスタートし、その後、分譲住宅へと提供範囲を拡大してきました。導入実績が増え、事業が成長するにつれて、プロダクトチームは市場が抱えるニーズが一様ではないことを痛感するようになります。
具体的には、「分譲住宅」と「賃貸住宅」では、スマートホームに求められる価値が根本的に異なっていたのです。
【分譲住宅】に住む人と建てる人が求める価値
分譲住宅を購入する方にとって、それは「長く住み続ける我が家」です。そのため、求めるのは以下のような価値でした。
- パーソナライズと拡張性： 家族の成長やライフスタイルの変化に合わせて、デバイスを自由に追加・変更できる柔軟性。
- 長期的な資産価値： 最新技術による快適性や安全性が、住宅そのものの価値であり続けること。
- シームレスな体験： 難しい設定は不要。入居したその日から、すぐにスマートホームのある暮らしを始められること。
【賃貸住宅】を経営する人と住む人が求める価値:
一方、賃貸住宅の事業者（デベロッパー、オーナー、管理会社）にとって、スマートホームは「不動産経営のツール」という側面が強くなります。
- 物件の差別化と収益性： スマートホーム化による入居率の向上や家賃アップ。競合物件との差別化。
- 圧倒的な管理業務の効率化： 内見時の鍵管理、入居者への一斉連絡、トラブル対応といった日々の業務コストの削減。
- 入居者の利便性： 入居者がすぐにメリットを感じられる手軽さとセキュリティ。
これら2つの異なるニーズを、単一の「SpaceCore」というプロダクトで満たそうとすると、どうなるでしょうか。
分譲向けの "拡張性" を追求すれば、賃貸の入居者には「機能が複雑で使いにくい」と思われてしまう。
賃貸管理向けの "業務効率化機能" を追加すれば、分譲の居住者には「自分には関係ないメニューばかりだ」と感じさせてしまう。
「このままでは、どちらの顧客にとっても"中途半端"なプロダクトになってしまう！」
その危機感が、私たちを突き動かしました。
プロダクト分割という決断
この課題を根本から解決し、それぞれの顧客セグメントに対して、より深く、より鋭い価値を提供するために。私たちが選んだ道が「プロダクトの分割」でした。
これは単なるリブランディングや機能の切り分けではありません。それぞれのターゲット顧客に最適化されたアーキテクチャと機能群を提供するための、戦略的な進化です。
SpaceCoreHome（スペースコア・ホーム）：分譲住宅に特化し、「住まう人」の心地よさを追求。入居した瞬間から最高のスマートホーム体験が始まる、最高の「心地よい住まい」。
SpaceCorePro（スペースコア・プロ）：賃貸住宅に特化し、「不動産事業者」の課題解決を追求。業務効率化と物件価値の最大化を実現する、プロ向けのプラットフォームです。
この決断により、私たちはそれぞれの開発ロードマップを明確にし、各領域で最速・最適な価値提供を行える体制を整えました。
そして、発案から2年の開発期間を経てリリースへと至ったのです。
次回予告
今回は、私たちが「SpaceCore」を2つのプロダクトに分割した理由と、その戦略的背景についてお話ししました。
次回、Vol.2では、まず賃貸不動産事業者のために設計された「SpaceCorePro」に焦点を当てます。IoTとデータがいかにして不動産管理業務を変革し、ROI（投資対効果）を最大化するのか。具体的な機能とともに詳しく解説しますので、ぜひご期待ください！
🎉 Vol.2を公開しました！ tech.accel-lab.com
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