
こんにちは。PdMグループのオカモトです。
普段は開発プロジェクトのプロジェクトマネージャーなどを担当しています。
今回は、SpaceCoreアプリと連携するMatter対応スマートロック「Aqara J200」について、提供開始前に実施したフィールドテストの内容をご紹介します。
動作検証だけでは分からなかった実際の住宅へ設置する際の課題や、継続利用によって発生する事象などを事前に洗い出すために実施しました。
検証対象のデバイスについて
今回検証したのは、Matter over Threadに対応した貼り付け型のスマートロック「Aqara J200」です。
既存住宅の玄関ドアに本体を両面テープで貼り付けて設置し、SpaceCoreアプリや暗証番号などで施錠・解錠を行えます。
既築物件に後付けできること、また充電式バッテリーを搭載していることが、これまで扱ってきたデバイスとの大きな違いです。
一方で、既存住宅の玄関ドアはサムターンの形状や周辺環境が多様です。
そのため、仕様上の対応可否に加えて、実際の住環境で問題なく設置・運用できるかを確認する必要がありました。
なぜフィールドテストを実施したのか
社内の開発・QA工程では、一通りの動作確認を完了していました。
しかし、テスト環境で正常に動作していても、実際の住宅へ設置すると、事前に想定していなかった問題が発生することがあります。
過去に取り扱った製品でも、実際の住宅へ設置した際に、設備や設置環境の違いによるトラブルが発生し、お客様へご迷惑をおかけしたことがありました。
特に後付け型のスマートロックでは、メーカーが対応対象としているサムターンであっても、その形状や遊び、ドアノブとの位置関係、設置する位置や角度によって、実際の使い勝手や操作性が変わる可能性があります。
また、今回は当社として初めて取り扱う充電式のスマートロックだったため、実際の利用回数に対して、バッテリー残量がどのように推移するかも確認したいと考えました。
そのため、実際の住宅環境で発生する事象を幅広く収集する、探索型のフィールドテストを実施しました。
フィールドテストの概要
フィールドテストには、社員宅十数世帯に参加してもらいました。
各世帯にAqara J200を1台ずつ設置し、2026年5月13日から、日常生活の中で通常のスマートロックとして利用してもらっています。
記事執筆時点でもデバイスは設置したまま、テストを継続しています。
テストでは、主に以下の項目を確認しています。
- 実際の住宅への設置可否
- 初期設定とキャリブレーション
- 日常的な施錠・解錠の安定性
- 利用回数とバッテリー残量の変化
- 継続利用による本体のずれや脱落
- その他、事前に想定していなかった事象の確認
テスト開始後は、各デバイスの操作回数とバッテリー残量を継続的に記録しています。
フィールドテスト中に取得したデータでは、1か月間で合計約5,000回の操作ログを確認しました。
利用者へのアンケートでも、Matter接続や日常的な施錠・解錠、バッテリー消費状況を含め、全体としてはおおむね良好な結果が得られています。
一方で、実際の住宅へ設置し、継続的に利用したからこそ見えてきた事象もありました。
フィールドテストで判明した3つの事象
1. 箱錠ではドアノブと干渉する
一部の箱錠では、Aqara J200を設置すると、スマートロック本体とドアノブが接するほど近くなることが分かりました。
スマートロックの設置や施錠・解錠自体はできても、本体が邪魔になってドアノブを十分に握れず、ドアを開けにくくなります。
つまり、スマートロックを取り付けられることと、設置後も玄関ドアを支障なく利用できることは別の問題です。
メーカーの対応表だけで判断するのではなく、ドアノブなど周辺部品との距離を含めて、提案可否を判断する必要があると分かりました。
2. サムターンの遊びで施錠・解錠の状態が分かりにくい場合がある
遊びが大きいサムターンでは、初期設定時の自動キャリブレーションだけでは施錠状態か解錠状態かが見た目で判別しづらいことが分かりました。
この事象については、キャリブレーション位置を手動で調整することで改善しました。(検証時点ではメーカー提供アプリを利用して調整)
事前にこういった状況が発生する可能性があることを把握できていれば、実際にお客様宅で同様の事象が発生した場合でも速やかに対応することができます。
3. 設置時の軸ずれによって本体が脱落する場合がある
本デバイスは、玄関ドアに両面テープで固定して設置します。
今回のフィールドテストでは、スマートロックの回転軸とサムターンの軸がずれた状態で設置されていたケースで、設置から約1か月後に本体が脱落しました。
軸がずれた状態で操作を繰り返すと、粘着面に継続的な負荷がかかります。
その結果、時間の経過とともに粘着面が剥がれ、本体の脱落につながったと考えられます。
一方で、回転軸とサムターンの軸がきちんと合っていれば、粘着面へ余計な負荷はかからず、こうした脱落は発生しませんでした。
この事象を受けて、設置時には施錠・解錠できることだけでなく、動作時に本体へ不自然な力がかかっていないか、回転軸が合っているかを確認することにしました。

まとめ
今回のフィールドテストでは、社員宅十数世帯に実際のスマートロックとして利用してもらい、Matter接続や日常的な施錠・解錠、バッテリーの持ちについて、おおむね安定して運用できることを確認しました。
一方で、実際の住宅へ設置したことで、ドアノブとの干渉、サムターンの遊びによる施錠・解錠状態の判別のしづらさ、設置時の軸ずれによる両面テープへの負荷といった課題を発見できました。
いずれも、社内の動作検証だけでは発見しにくく、実環境で継続的に利用したからこそ見えてきた事象です。
アクセルラボでは、こうした実環境ならではの知見を、設置可否の判断基準や設置手順、運用時のサポートフローへフィードバックし、製品提供前の品質づくりに活かしています。
フィールドテストは現在も継続しています。今後も利用回数やバッテリー残量を確認するとともに、長期利用によって初めて分かる事象がないかを継続して確認していきます。
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